コマツザキです。
1999年式のS-TYPEが浦安からご来店いただきました。
「トランスミッションイジョウが出て、ディーラーで丸ごと交換って」
「ソレノイドCが悪いと言われた」
「ATFの状態は悪くないって言われた」
この頃のS-TYPEってマニュアルに診断フローチャートが出てるから、その順にやれば良いのにねぇ。
ま、新車設計時のフローチャートはアテになりませんが、何も診断せずにいきなり「丸ごと」では、ちょっと・・。
実は私はちゃっかりフローチャートに目を通してたんですが、冷間時何でもなくて温感時故障するなんてチャートなんてどこにも書いて無かったんです。
左の画像はラジエター。
親方が触診しているところ。
「ヒートしてるんじゃないの?」から点検しています。
で、これが驚き。
ホントにヒート気味のようで、ラジエターが冷たいんです。
サーモ開いてないのかって疑ってます。
サーモの点検する前にまたも松本さん
「エア抜きの栓を触った事無いんじゃないの?」と。
確かに工具あてた跡が無いです。
ジャガーディーラーさんで作業してたという事なんですが・・。
とりあえず、エア抜きしてラジエターは復活。
でもその後の試運転でもやっぱり点灯しちゃったので、次の点検に移ります。
(ここから私の出番です)
まず、ミッションの開腹ですね。
かなーり臭う。
金属粉が混じったATFの焦げた臭い。
これはトルクコンバーターあたりで結構痛めつけられてる証ですな。
ソレノイドバルブ付近の画像。
スラッジたっぷり。
松本さんに確認してもらって、治療方針を決定。
バルブボディーのオーバーホール始めまーす。
このミッション、修理書ではミッション取り外して180℃回転させた仰向け状態で作業するようです。つまり、車載された状態でうっかり外すといろいろ落ちてきます。
とりあえず軽くオイルを洗い流してから作業を始めます。
(Shozen流)
(これには意味があります)
(たぶんどんなミッション屋さんでも先には洗わない)
(注・ちなみにうちはミッション屋さんではありません)
シリンダスタックしているピストンもありましたね。
ひとつひとつ点検していきます。
やっと1列目摘出完了!
ふぅ~。一服つかせてもらいましょうか。
=3
・・・あ・見つけた。
見つけましたよー。
ピストンの中に入り込んでるから最初分からなかった!
スプリング割れてまーす。
4速を制御しているシリンダでした。
冷間時ではオイル硬さの影響で症状出にくかったんですかね。
FORD製のこのミッション、部品調達は叶わないのがヤなところ。
きっちり同じものを測定するには今となってはドナーが必要ですが、今回は線径0.8外径7.5長さ19荷重1.5kgのオリジナルスプリングを使わせていただきましょう。
無事組み終わり、装着。
今回肝心のATFですが、トルクコンバーターでの発熱リスクを懸念して、成分が適合した硬めのオイルを松本さんがチョイス。
試乗しましたが、とても気持ちの良い・加速の軽いS-TYPEが出来上がりました。
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