こんにちは 松本です。
世界的にミニSUVが人気のようだ。
アウディのQ3やBMWのX1はその代表格なのだろう。
ランドローバーファミリーの中では今でこそイヴォークがその垂涎の的になっているがイヴォークがまだ未誕生だったころ、このフリーランダーがそのポストにあたる。
フリーランダーはタイヤが『四駆(ヨンク)』らしくブロックタイヤ寄りで今時『SUV』とは一線を画すと僕は思っている。
「エンジンからギュイーン音がする」と来店された。
症状を確認すると、エンジン付近ではなくファンベルトで駆動されたパワステポンプから音が出ている。
エンジンの回転数に比例して音質が変化するので、エンジンの空ぶかしをするとギュイーン音もリニアに反応するのだ。
こんな時はだいたいパワステオイルが減っていてオイルの中にエアが混入することにより同質の異音を立てることが多い。
およよ、
オイル充分か。
これは手痛い出費につながるぞー。
「パワステポンプから音がしてるのは間違いない。ポンプ内部も摩耗してるだろうからポンプの交換で治るかもしれませんが、ちょっと僕の研究材料にクルマを入院させていきませんか?」
「ポンプ交換(高額)にならないかもしれないなら、その可能性にかけたい」
預かることになった。
とくに妙案があったわけでも、策があったわけでもないのだが、なんとなく調べてみる必要があると感じたのは、この油圧システムに「ペントシン」と呼ばれる作動油を使うことがメーカーから指定されていることから。
いやいや、ペントシンというオイルを疑う訳ではない。
ペントシンオイルを使っている他メーカーで故障が多い過去の経験からちょっと好奇心を持っただけだ。
オイルを抜いてみよう。
特別オイルが汚れている気配は無い。
この時点で尚更にポンプの交換についてその必要性が低くなった。
オイル汚れてたり、鉄粉が多量に混じってればポンプ交換止む無しだもんね。
小松崎の記事によると「ウチはミッション屋じゃありません」という文言が僕にとってはツボだったのだが、同じ作動油機構(ギヤボックス)システムにおいて圧力制御が一番疑うべき回路なのだ。
「もしかしたらどこかにフィルター無いかな」
ここまで来ると必然、フィルター掃除で直らないかという期待に変わる。
リザーバータンクの中は・・
見づらいところだが、ビンゴ。
リザーバータンク内に集塵フィルター発見。
しかも汚れビッシリ。
通路であるタンクのパイプをクチで咥えて息を吹きかけるも、相当な詰まりを確認できた。
なんとかフィルター掃除しようとも考えたが、リザーバータンクが4000円くらいで安価だったため部品を交換することにした。
もちろん、交換後は異音が止まってめでたしめでたし。
ペントシンというオイルを知ったのはごく10年くらい前の事。
ベンツのSクラスでエアサスならぬ「オイルサス」が注目されていた。
エアで風船(サスペンション)を膨らませるのではなく、ペントシン社が作ったこのオイルで風船を膨らませるというもの。
とくにこの機構に関心は持たないが、これがよく壊れて壊れて。
修理代に100万円以上かかるヒトもいて作業してるこちらも気の毒で仕方なかった。
オイルが良くないのかどうかは分からないが、「このペントシンオイルを作動油として必要になった」とモノづくりした部品メーカーが不具合製品(サスや電動幌など)が多く壊れている統計はクルマ屋さんしか知らない。
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