松本です。
1年ほど前からブログに書くことをためらってきたことがあって。
書いては消して、また書いてみるもののアップロードを躊躇するという。。
画像のレンジは2006年式のレンジローバー。
ジャガーエンジンが搭載され始めたのが2006年式から。
それからレンジローバーのトランスミッション故障や冷却水不足のランプ点灯が相次いでいるらしい。
1~2年ほど前から
「他店で普段メンテしてるんだけどトランスミッション直してくれない?」
という問い合わせが頻発している。
決まって僕は
「冷却水に問題ないですか?」
と返す。
ここでいう冷却水については『エア抜き』という作業が不十分なためにトランスミッションが過熱による損傷を起こしていないかいうこと。
入庫ついでにラジエターを触診。
2時間も走ってきたラジエターはカンカンに熱くて当然だが、手で触っていられるほどの温度だった。
『エア抜き』といってなかなかピンとくるものでもないが、
たとえば注射器の中の液薬と液薬の間に空気が入っていると注射器のピストン(ポンプ)を押しても先端から押した分の液薬は出てこない。
ボンネットを開けてインテークダクトホースの下にあるロアボトムホース(画像アカマルで囲ったホース)を握ってみる。
*注意!
一般の方は絶対にやらないでください。
ファンベルトや冷却ファンなど回転部分に手を挟んで大けがの恐れがあります。
電動ファンは全力最高速度で回っているというのにボトムホースはまったく冷たいし、グニャグニャと手で握れる状態だ。
正常な車両であれば、ラジエターで冷やされた温度なのでちょっとあったかい程度。なにより、水温計が上がっていればパンパンに膨張していて指でつまめるものでは無い。
からっぽのビニルタンクにラジエターの冷却水を抜いてみる。
20リットル入るビニルタンクだから、おおよそ4~5リットルしか抜けてこなかった。
それから新しい冷却水を補充してみると、なんと13リットル入ってしまった。
冷却水なんか入っていなくとも水温計上がらないクルマなんだね、レンジローバー。
電動ファンが高速で回るとその扇風機に一番近いエンジンは冷やされるようだ。
でも、トランスミッションやスーパーチャージャーはラジエターの熱交換に依存する冷却システムなので過熱状態のままドライバーに知らせることは無い。
もう20年くらい前のジャガーから冷却水のエア抜きは人為的にしか適わなかった。
『そのうち抜ける』はジャガー・スバル・ホンダにはあり得ない。
ちなみにこのレンジはエア抜きに2時間かかった。
きれいにエア抜きが完了するとオーバーフロータンクは画像のように上部のホースから冷却水がタンク内に落ちるように見える。
エア抜きのブリードスクリューは3か所あったが、実はこのレンジ3か所あるなかの2か所は触られていない様子だった。
ブリードスクリュー緩めるだけでもエアは抜けない難儀なクルマなんだけどね。
トランスミッション過熱になる原因がもうひとつ。
ATFクーラーの冷却水回路が詰まっていた。
「プー」と息を吹きかけてストローのように通らなければいけないところ、固い風船を膨らませるほどの肺活量が必要だった。
冷却水の定期交換も必要だし、冷却水の質そのものもアルミエンジンになってからはデリケートなところ。
もし、長い間冷却水が流れずいたからATFクーラーまで石灰状のカス(冷却水は乾燥すると粉末状・石灰状になる)になったとしたなら、ことは複雑だ。
近々、このブログも削除するかもしれません。
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シリュー (木曜日, 26 1月 2017 23:47)
松本さんはオーバーヒートしないでネ
こちらは多忙で耐久テストしてるみたいな状態です。